金沢動物園に行こう。
先日上野動物園の記事で賞(※)をいただいたばかりで恐縮ですが、実は他に一番好きな動物園がありまして、今日はその話です。
突然ですが、皆さんは動物園に何を求めますか?珍しい動物がいる、イベントが楽しい、見やすい、コスパがいい、人それぞれかと思います。その中で自分が好きな動物園の条件が”動物も人間も過ごしやすいか”ということです。
えーっと何言ってるかよくわからないと思うのですが、やっぱり観客からすると見やすさ、動物との近さって大事じゃないですか。ただ、単純に動物と人間との距離を近づけようとすると動物の生活エリアが狭くなる。見ていてちょっと息苦しく悲しい気持ちになります。それならばと動物の住処を広くすると今度は動物が遠くに離れてしまい見づらくなる。ジレンマです。
そのあたりの見せ方がいいなーと思うのが、おれの一番好きな動物園、横浜市立金沢動物園。
この動物園、”ツノのある動物”に特化しているというコンセプトの時点でかなり面白いのですが、動物の特性を活かした見せ方がされていて、それが好きなんです。
例えばオオツノヒツジとプロングホーンの展示。オオツノヒツジって高所で暮らす動物なので、普通に展示させると観客が高所にいる彼らを見上げる形になるんですが、ここだといきなり目の前にオオツノヒツジがバーンと現れます。いきなりです。
何故ここにオオツノヒツジ!?となるのですが、冷静に考えるとここにたどり着くまでに少しづつ山を登っていたんですね。
実際の写真だとこういった具合。この下にはずっと岩山が広がっています。オオツノヒツジの高所へ登る習性を鑑みて、彼らが自然と集まる場所に、人間の動線が来るようにしているんです。この配置設計が素敵。
で、オオツノヒツジ良かったなーと余韻に浸りながら坂を右に曲がりながら下っていくと、いるんですよ、下りたところにプロングホーンが。
いたー!同じ岩山の下の方に、平地で暮らすプロングホーンがいるわけです。当然山を見上げるとさっき目の前にいたオオツノヒツジが断崖絶壁の上で暮らしている。めちゃくちゃ憎い演出。あとこの動物園はフェンスがほとんど無いのでとても見やすく動物を近くに感じることができます。フェンスの有無、思っている以上に臨場感に差が出ます。
まあここまで偉そうに話してこの間はじめて行ったばかりなのですが、他にもカンガルーのウォークスルー、休憩室で見られるワライカワセミ、儲ける気の更々ない園内での食事や不安になるなかよしトンネル、適度な混み具合(大事)、隣接した公園にある全長100mの滑り台など…。魅力を挙げるとキリがないのですが、とにかく動物の過ごしやすさを第一にした上で観客にも楽しんでもらおうという心遣いが感じられておれはこの動物園がとても好きです。
少し辺鄙なところにありますが、品川から最寄りの金沢文庫駅まで一本ですし(そこからバスに乗るけど)ゴールデンウィーク行くところに迷った際はいかがですか、金沢動物園。
※追記。
この度、当ブログの「上野動物園を外から覗いた、の話」がデイリーポータルZの新人賞で最優秀賞をいただきました!ずっと憧れていたwebサイトだったので本当に嬉しいです。
やー…なんか、ありがとうございます。まだ実感無いですがこれからもよろしくお願いします(ちなみに金沢動物園は外から覗けるタイプの動物園ではないです)。