1歳の男の子とつかまり立ち

その昔子どもの写真スタジオに勤めていたことは前にも書いたが、いろんな家族を毎日見られるのは愉快な経験だった。

いくつか印象的だった出来事の中で、今日は1歳の誕生日だった男の子の話。※ただの思い出話です。

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子ども写真の最たる需要は七五三なのだけど、誕生日の記念に撮るというニーズもなかなかに多い。

誕生日撮影はレプリカのケーキと一緒に撮ったりするのだけど、1歳だとそこにつかまり立ちのポーズが追加される。この時期、足腰がしっかりしてきてつかまり立ちができるようになったり、早い子だと歩き始めたりするのだ。

で、その男の子の撮影である。順調にカットを進めていき、つかまり立ちのポーズになった途端よちよちと歩き始める男の子。おっ成長の早い子だ!かわいいけど写真撮りたいから止まってくれーと顔をにこやかにしながら思ってたんだけど、それを見た母親のテンションが異様に高い。どうしたどうしたと思ったら、

「はじめて歩いた…!!」

男の子、はじめて歩いたらしい。生まれて初めての一歩目が写真スタジオだったのだ。めでたい瞬間過ぎて笑ってしまった。

自分の子ども以外の第一歩目を見る瞬間なんてそうそうないだろうな、と感じた貴重な体験だったので強く記憶に残っている。その瞬間ちょうど目を逸らしてたその子の父親が、母親から責められていた。