20年前のハロウィンのこと

オチも何もない話だけれども。

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はじめてハロウィンをしたのは20年以上前の小学生の頃。当時住んでいたマンションというのが、どの家庭にも子どもがいて、しかも子どもはみんな小学生以下、というわりと特殊な環境だった(いま考えるとかなり恵まれた環境だ)。で、ある年からそのマンション全体でハロウィンパーティーが開かれるようになったのだ。

当時はハロウィンの認知度なんて本当に低いもので、知識としては持っていたとしても、それこそ「スペインではトマト祭りというものが8月に行われるらしい」と同等の遠い国のイベントだったと思う。

そんななかでなぜハロウィンが開かれたかというとそのマンションにアメリカ帰りの家族がいたからで、彼らの提案でこの催しが見よう見まねで立ち上がったのだった。「トリックオアトリートというらしい」「各家庭でお菓子を用意しよう、仮装もするんだそうだ」よくわからないなりに各家庭が準備を進める。ハロウィン文化の普及前、仮装グッズなどあまり出回っているものではなかったので、各自工作をする形で10月31日を迎えた(おれは黒いゴミ袋でゴジラに扮した記憶がある。なぜ)。

当日は大いに盛り上がった。何せどの家のチャイムを鳴らしてもお菓子がもらえるのだ。「103号室でチョコもらえるぜ!」「207号室のお菓子の量すげぇ!!」妖精、なんらかのヒーロー、ゴジラ。つたない、思い思いの仮装をした子どもたちが情報交換をしながら次々と家を回る。意味もわからないまま異国の呪文を叫び、ウハウハとお菓子をカバンに詰めていく。

そうだ、あれは確かにハロウィンだったよな、と昨日今日のハロウィンのニュースを見ながら久々に思い出した。とても楽しいイベントだった。