ある日突然お腹が空いた

お腹の空かない子だった。

というか、お腹が空いたことがなかった。1食や2食くらい抜いてもなんら問題がない。飲食費が支給された日などはご飯を食べないことでそのまま懐に入れるなどしていたと思う。何せ食べても食べなくても変わらないのだ。

転機は確か中3のころ、ある日突然お腹が空いた。

びっくりした。いきなりお腹をぎゅっと掴まれるような未知の違和感を覚えその場にうずくまる。盲腸だろうか、胃潰瘍だろうか、不安に苛まれお腹を押さえながら考える。頭の中では救急車のサイレンがリフレインしていた。なんのことはない、その日の昼飯を抜いていただけだった。これが空腹なのか、と思った。

それ以来、空腹とはとても嫌なモノなのだと考えを改め、とにかくお腹を空かせないようになった。今でもかならず1日3食以上食べるし、社内の誰よりも早く昼に入る(弊社は休み時間が決まっていない)。

今でもお腹が空くと、お腹が空くことのなかった人生の前半を思い出す。あれはなんだったのだろう。雷に打たれたような転機って誰しもあると思う。おれは突然お腹が空いたことがそれのような気がしている。