『東京』が歌えない

東京近辺で幼少期を過ごしてきた人間には「東京」をテーマにした歌が作れない、歌えないという。

くるりの『東京』、きのこ帝国の『東京』、チャットモンチーの『東京ハチミツオーケストラ』などなど、各々思い当たる東京の曲があると思う。どれも名曲だ。

埼玉に生まれ神奈川で育ってきた自分にとって、東京とはただのひとつの都市であり、地名であり、”なんか明るい光が当たっているなあ”くらいの場所だ。要は軽いのである。

なんでこんなことを考えているかというと、最近よく峯田和伸の名を目にするからだ。前にこのブログでも触れた和歌山の島育ちの友人が度々銀杏BOYSの『東京』を歌っていて、とても好きだった。そして同時に「おれには歌えないなあ」と思っていたのだ。キーも高いし。

インターネットが活発になり、地方から上京した友人がまわりに増えた。北海道、京都、愛知、福岡、鹿児島。諸々。ふわふわと衛星のように東京近くを漂っていた自分とは違って、自分の意思でここを選んだ人たちだ。彼らは東京の歌を聴くだろうか。何を感じるのだろうか。

そんなことを考えながら銀杏BOYSの『東京』を口ずさんでみたけど薄っぺらい、ただただ薄っぺらいのだ。